sealer del sol (シーラーデルソル)

Guapo!WEBマガジン[グアッポ!]

vol.2

"海をこよなく愛するジャズギタリスト" 小沼ようすけ さんにお話しを伺いました。

ジャズギタリスト小沼ようすけ

Photo:前原信吾
構 成 : Lica
文 : Mitsuki
Movie:しんご
編 集 : Shuji Tonoki
撮影やインタビューの映像をご覧頂けます。
音楽とサーフィンとの出会いは?

父親がギターを、母親がエレクトーンを家で教えていたので、子供の頃から音楽は身近にあったんですね。父親と母親がギターとピアノを弾いてセッションする・・・みたいな。
ギターをはじめた直接のきっかけは、中二の時に友達と結成したロックバンドでした。当時BOOWYとかがはやっていたこともあって、秋田の友達の倉庫で、みんなで音を合わせて楽しんで。そんなわけで、ジャズに移行したのはプロを目指して東京に出てきてからなんです。父親がブルース好きだったこともあって。若い頃はロックにしか興味がなかったんですが、父親が家や車でかけていたのはジャスだったから、やっぱり身近だったのかな。それから99年、24歳の時にコンテストで優勝して、それをきっかけにしてプロ活動を始めました。26歳の時にCDを出したんですが、実はずっと自分の表現みたいなものに悩んでいたんですね。というのも、やっぱりジャズって海外の音楽だから、自分自身の生活感の感じさせる音楽がやりたいと思っていたのが強くて。正直、海外の文化に触れているわけでもないし、しっかり生活したわけでもないので。そこで、自分は海が好きだという原点に帰り。で、東京から葉山に引っ越したのと同時にサーフィンとの出会いがあったんです。

―小沼さんの音楽は、サーフジャズと形容されることも多いですが、音楽とサーフィン、それぞれをどう考えていらっしゃいますか?

僕の場合、ギターを弾くことで人と出会えると思っているんです。ギターを弾いているおかげでいい仲間と出会えたりとか、言葉が通じなくても仲良くなれたりとか、素晴らしいミュージシャンと知り合えたりとか。だから、人間同士をつなげてくれるのがギター。サーフィンは、旅のきっかけを与えてくれるものかなあ。普通だったら、わざわざ自分ひとりで車運転して宮崎や鳥取の海なんかへは行かないですからね(笑)
サーフィンを始めて、ひとりでふらっとギター持ってバリとかプーケットへ行くようになって、そこでギターを弾きながら、インスピレーションを受けて生まれてくるものがあったりして。ほんと相乗効果なんですよね。音楽で煮詰まったときに、旅して、新しい景色とか場所との出会いをサーフィンが与えてくれて、そこでギターを弾いて、新しい人との出会いをさらに与えてくれて。だから、僕にとっては二つともかけがえのないものなんです。
正直、音楽だけをやってたときは、すごく悶々としていたから。田舎育ちで自然が大好きなのに、都会化されていく自分もどこかで分かっていたし、「都会的なジャズ」とか言われて、そういうものを表現することがリアルなのかな?と思ったりして。サーフィンとの出会いがあって、自分に戻れたと思ってます。

小沼さんにとってのサーフィンのスペシャルな魅力は何ですか?

サーフィンてやればやるほど納得するんですよ。無理するとカッコ悪いし、チカラが入るとうまくいかない。音楽も全く同じで、 無理するとダメだし、チカラ抜いたほうがエネルギーが出てうまくいく。ナチュラルであればあるほどそうなんです。
音楽でもピンチの時があって、そういう時を切り抜ける「チャンスのポイント」みたいなものを判断する能力が、サーフィンを やってるおかげで上がったような気がします。昔はやみくもにやっていたけれど、「チャンスを待つ」「チャンスを逃さない!」 という直感力が上がったような。おかげで「無理はしない」「行くときは行く!」のメリハリが出せるようになりました。 やっぱり、普段の生活で「死ぬかも?」なんて思うことはないじゃないですか。でも、デカイ波に巻かれて「死ぬかも?」って 本当に思ったりして。極限状態を知ることで、精神的に強くなったと思うんです。
リズム感も、昔は、メトロノーム的な正確さを求めていたようなふしがありましたが、自然のリズムみたいなものを、サーフィン のおかげで得たような気がします。
「海を知れば知るほど、自分がもっと上がっていける」と信じているからこそ、サーフィンにハマっちゃうんでしょうね。 ギターは散々弾いてきているから、体の一部になっていて、「こうすればこうなる」ということがもうわかってます。だけど、 サーフボードはまだ経験が浅いから、思うように動いてくれないんですよ。
もどかしいからもっと知りたい、もっと思い通りにしたい!これまたハマる原因なんでしょうね。これでギターも変わっていくと 思っていて、それを信じてやっているようなところはあります。

サーフィンをやっていて、面白かったエピソードは?

去年の冬、曲作りで煮詰まっていたときに、鹿児島に行ったんですね。そしたらまさかの大雪で。 その中で自分も含め何人かが海に入っていたんだけど、次の日50kmくらい南下してまた入っていたら、 昨日いた2人がまたいて、声かけてくれたんですよ。
それで、彼らが自分のギターを見つけて「音楽やるんですか?自分もバンドやってます」なんて話してい たら、偶然自分のファンで。それ以来すっかり仲良くなって、鹿児島行くたびに連絡取り合ってサーフィ ンしながら音楽談義をするんですよ。これもサーフィンをやっていたからこそだなと。
多分、音楽だけで知り合ったら、アマとプロだからこんなに深い関係にはならないですよ。 サーフィンは向こうの方がウマイから、サーフィンは教わって、音楽は教えてあげて(笑)。

「音楽が本業、サーフィンは単なる趣味」と思ってましたが、本当に切り離せない関係なんですね。

理想は、海で音楽のことを考えたいし、ライブやりながら海のことを考えていたいんです。それがいい意味でがんばりすぎないことにつながるので。

見た目に対して気を配られていることは?

衣装選びなんかでも、「この靴を履いたら、いいギターが引けるんじゃないかな?いい場所に連れてってくれるんじゃないかな?」とか、そういう感 覚で洋服も選んだりします。「青が入ってるから海っぽい。ステージでこれ見てくれたら海を思い出してくれるかな?」とかね。自分の為にプラスに なるようなおまじないみたいな感覚なのかな。単に「カッコイイ」だけだと、すぐに飽きちゃうけど、そこに想いが入るとステージとかでもテンショ ン上がるし。そういうことはよく考えますね。

最後に、今後の音楽活動についてお聞かせください。

ツアーの後にソロアルバムを出したいと思ってます。今はその曲作りをやってるので、色々研究したいし旅に行ったりしたいですね。

発売時期は?

11月くらいに出せればいいな。

LIVE情報

8/17 Wed
丸の内/Cotton Club
◎AQUA PITアルバム発売記念ライブ
出演: アクアピット (金子雄太(org)、小沼ようすけ(g)、大槻"KALTA"英宣(dr))
START/ 1st 19:00, 2nd 21:30
CHARGE/ 自由席テーブル席 : ¥5,000
指定席BOX A (4名席) : お1人様¥7,000
BOX B (2名席) : お1人様¥6,500
BOX S (2名席) : お1人様¥6,500
SEA T C (2名席) : お1人様¥6,000
予約受付開始日 : 6/11 (Sat)
問: 03-3215-1555

Album情報
人生で大切にしていることのバランスは?

「愛情・なかま・家族」「自然」「音楽(自分のため)」

全部一つで、本当は三等分には分けられない。
そして意外なのが、音楽はあくまで“自分のために磨き上げたいもの”なのだそう

Profile
小沼ようすけ Yosuke Onuma

小沼さんの詳しい情報は・・・
http://www.yosukeonuma.com/index.html