sealer del sol (シーラーデルソル)

Guapo!WEBマガジン[グアッポ!]

vol.4

スキークロスで世界を戦う、フリースキーヤーの河野健児さん。その自由なライフスタイルについて伺いました。

フリースキーヤー河野健児

Photo:殿木修司
構 成・文 :大久保里香
インタビュー:斉藤未希
フェニックスのweb magagine でツリーハウスの模様が紹介されました!
http://www.youtube.com/watch?v=6R3ue1yKKos&feature=mh_lolz&list=FLMrLj52vQSUPN40hrb3UdSQ
まずは、河野さんが取り組まれているスキークロスについて、どんなスポーツか教えて下さい。

雪上で4 ~ 6 人の選手が同時にスタートして、障害物をクリアーしながら最初にゴールした人が勝者となるスポーツです。レース中の 選手同士の駆け引きが魅力なんですよ。

激しさやスピードが魅力的ですよね。スキークロスをしていて、一番パッショナルなタイミングはどんな瞬間ですか?

スキークロスは人より先にゴールするっていうのがなにより醍醐味で、その瞬間が最高なんですよ。とにかく!! F1 と一緒で抜くシーンが 見どころで。よっしゃ!!って感じですね。

一瞬を競うという特性においても、とにかく集中力が重要だと思いますが、試合前の精神統一のためには、どんなことをされていますか? また、そのために日頃から習慣的に気にかけていることはありますか?

もちろん、心の部分って大切なんですけど、自分はメンタルトレーニングみたいなことは特別やってないです。大事なのはオフ シーズンでのフィジカルトレーニングだっていう持論があって。それをとにかく妥協せずに取り組むことが自分にとっての自信になって います。やっぱり身体あっての心という意識が強いです。なので、不安になったことがないんです。

妥協しないということのポイントは何でしょうか?

人とは違うことをやっているっていうことですかね。質に関してはもちろん、がむしゃらに量重ねればいいとは思っていないので、量に関 する意識も人とは違うと思います。今年10 シーズン目に入ったので、年々分かってきた部分も多いです。何をやったらいいのか。今一年目 を振り返ると、量やっても質が伴っていなかったなと思うことが多いなってこともありますね。ソチに向けても、勝つための技術は年々分か ってきているので、とにかく量より質が上がってくれば・・・と思っています。

トレーニングというのは、トレーナーやコーチと一緒にやっていくものなんですか?

スキークロスはアルペンと違って競技になってからまだ十数年しかたっていないんですよ。だから、コーチなどがやっとでてきたところ なんです。この前のバンクーバーで引退した人がコーチになり始めたので。だからまだ、選手本人がコーチと言われる人たちよりも競技に 関しては分かっているんですよ。その分未知数でもあったりします。それで出た結果が良くても悪くても、自分で考えたトレーニング方法なの で、面白いんですけどね。バンクーバーオリンピックまではがむしゃらにやってきて、結局オリンピックの舞台には立てなかった。その後、冷静になって勝つための技術、そのための身体作りについて考え直す 時間を作ったんです。そうしたら、いろいろ明確になったことが多くて…。去年の世界選手権ではそのあたりの勝つための滑りが前半で出せていただけに、負けてしまった時すごく悔しかった。単純に勝つ結果 を追い求めるだけというよりも、自分のトレーニング方法を世界で試せるっていうことがすごく面白いです。現在もトレーニングの真っ最中ですね。

最近特に重点的にやっているトレーニングはありますか?

そうですね・・・主には股関節の柔軟性を高めることに重きをおいてますね。 雪上でジャンプをしながら障害物を跳び越すトレーニングはよくやっています。やっぱりパワーがいくら あっても、柔軟性がないとスピードに繋がらないんですよね。始めたばかりの頃は、まわりにいる外国人 選手たちを見て、とにかくパワーをつけなきゃいけないという思いが強かったんですが、ここ三年は柔軟 性を磨いているんです。

今までやっていて一番記憶に残っている試合は何ですか?

うーん、いろんなシチュエーションがありますけど・・・ 去年の世界選手権ですかね。その時、前の週に行われたX ゲーム(※世界最高峰のエクストリームスポーツ 大会)の優勝者と当たったんです。ミスをしてしまったために、結果は彼に抜かれてしまい次のラウンドに 進むことは出来なかった。でも、試合の最中彼の前に出られたんですね。それを叶えるタイミングがあった のは、夏からやっていたトレーニングが効いたと確信してます。なので、何でミスをしてしまったんだろう という気持ちが強いですね・・・一番悔しかったレースであり、自信がついたレースでもあるとも言えます。

オンとオフの切り替えはどういった形でやっていますか?

昔はオンでもオフでも結果を出すためにガツガツしていた部分が多かったんですが、今は入れるところだけ入れれば試合では大丈夫という 境地に至りました。きっかけは・・・フィジカルトレーニングじゃないけど、気持ち自体がなにか変わったんですね。

ライフスタイルでは何を重視していますか?

スキーをやっていたり、育った環境が長野県の野沢ということもあり、自然をすごく大切に思っている部分が大きいですね。今年はツ リーハウスを作ったり、畑を作ったりしているんです。スキーも雪だとか自然がなくてはできないので、その部分で特に大切に思っている 部分はありますね。野沢は夏、雪がないので訪れる人が少ないので、来る人を楽しませるものとして、ツリーハウスがいいのでは?と思い 始めました。もちろん、自分が楽しくて作りたいなというのもありましたけど。木は、間伐材。重機などはチェーンソー以外ほぼ使わず にやっているんです。なかなか面白いですよ。そういうことで競技生活からの気分転換をしているのかもしれないですね。

畑仕事はツリーハウスをきっかけに?

昔から畑はやっていたんですよ。まだ親父の見習い程度ですけどね。今、ツリーハウスの下に畑があるので、作った野菜をツリーハウスで 食べられたらいいなと思って。

日頃の食生活で気をつけていることはありますか?好きな食べ物(もしくはいわゆる勝負飯のようなもの)はありますか?

特に食事制限みたいなことはしないんですが、野菜を主に食べる、必要以上に脂をとらない、好きなものを食べるってところですかね。 一時はサプリメントとかも取ったりしてたんですが、今はもうあまりやってないですね。自分は、日本人としては身体が大きいし、他の アスリートからも良い身体だと言ってもらえるくらい、筋肉の質ももともと良いらしく、プロテインをとっても特別変化がなかったんで すよね。結局自分の家で昔から食べている野菜を食べるのが一番いいのではないかというところに立ち返った部分はあります。自分の身 体を作ってくれたのはおやじの作ってくれた野菜かなと思うし、プロテインより、いいものを食べることが精神的にもいいかなって。勝 負メシは、米。パスタもちょっと違うし、パンもお腹が空いてしまう。かといって海外遠征時にどんと米を持っていくとかそんなことま ではしないんですけどね。

座右の銘はありますか?

座右の銘ですか・・・(迷って)

『常識を身につけ、常識を疑え。』やはり、型にはまっていてはダメなんです。はっきり言って一流アスリートって変わり者が多いんですよ。でも、皆常識を踏まえながら、型破りなことをしているところが すごい。結局、常識を破っていく人が上に行けるのかなって思うんですよね。

スキークロスの魅力はどんなところですか?

遊びの延長ってことかな?小学校の時からずっとスキーの授業があったので。あそこの木 まで誰が一番に行けるか?とか。スキークロスって元をたどればそういう感じですからね。

ライフスタイルにおいて身体・健康・美容には密接な関係性があると思います。 これに関して河野さんの考えをお聞かせ下さい。

フィジカル、健康、ファッションなんかが全て繋がっているっていうのはその通りですね。後は、ライフスタイルにおいて自然というのは自分にとって大きな鍵になっていると思います。今、 夏も冬も自然の中で生活しているんですが、自然の中で生活できるおかげで、全くストレスを感じないんですよ。自然の中で好きなこととか楽しいことをやれるっていうのはかなり大きい。 ストレスフリーであることって健康とか、女性なら美容に繋がってくると思いますね。後はとにかくライフスタイルって楽しんで真剣にやることに尽きると思いますね。ある意味でツリー ハウスもそうですが、遊びも真剣にやれば仕事になっちゃったりするんだなって最近実感したりしてます。

今後の活動・目標を教えて下さい

スキークロスでは、オリンピックでメダル獲得という目標を持って頑張っていきたいですね。しかし、そこまで意識しすぎるのではなく、楽しみながらやっていけたらなと思っています。また、将来的には 生まれ故郷の野沢に戻れればというのはあります。冬はスキーができて、夏は畑やツリーハウスをやって、自然の素晴らしさを伝えられる仕事ができたら最高ですね。具体的なビジョンとしては、最近はやっ ているパウダースキー(コース外を滑ることができる)を野沢できる機会を作ったりとか、ツリーハウスを三年以内に完成させてハンモックカフェなんかできたらいいなと思ってます。そこで自分の畑で採れた 野菜とかを出したりしたいですね。

人生で大切にしていることのバランスは?

「自然・人」その中にある「スキー」
自然は本当に大切なもので、だけどそこに人がいなければ河野さんの世界は成り立たない。
「ここまでスキーヤーとして育ててもらったのもたくさんの人達のおかげですから。」と最後に力強く言っていたのが印象に残った。

Profile
河野健児 Kenji Kono

野沢温泉村生まれ。小学校2 年から高校卒業までの11 年間アルペンスキー選手として活動した後、2002 年からフリースキーの世界に転向し今に至る。スキークロス(skicross)でX-Game、世界選手権出場、ワールドカップなど世界 を舞台に戦っている。メインとなる活動はスキークロス世界大会になるが、その他にも世界の山々でのシューティング、制作、スキーウェア、アパレルのデザイニングなどスキーを中心に活動は多岐にわたる。
パートナーエージェント所属

ブログ:http://www.plus-blog.sportsnavi.com/kenji-kono/
裏ブログ:http://ameblo.jp/naturemind/
パートナーエージェント:http://www.p-a.jp/
フェニックス:http://www.phenix.co.jp/
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